★超音波を聞き取る中国の珍カエル(アモロプス・トルモタス)
2006年 03月 25日
アモロプス・トルモタス
2006.3.16
(excite)



[ロンドン 15日 ロイター] コウモリ、クジラ、イルカは超音波を利用してコミュニケーションをとる。齧歯(げっし)類の幼児も超音波で母親を呼ぶことが知られている。先日、中国の珍しいカエルが超音波を聴き取り、反応することが発見された。
このカエルは学名をアモロプス・トルモタスといい、哺乳類以外で超音波を利用する唯一の生物だ。アモロプス・トルモタスは中国中央東部の山奥に流れる急流に生息する。大きな音を立てる滝や急流では、超音波が聞こえることが便利なのだ。
イリノイ大学のアルバート・フェン教授は「自然が、逆境でコミュニケーションを容易にするためにメカニズムを進歩させたのです」と説明する。「可聴周波数を背景の雑音の帯域より上にシフトさせたのです。コウモリ、クジラ、イルカなどの哺乳類が同じことをしています。超音波を音波探知機やコミュニケーションに利用しているのです」
しかし、カエルに超音波を利用する種類が存在するのは知られていなかった。ニューヨークのコーネル大学の生物学者、クレイグ・アドラー氏は、中国で両生類の調査をしている際に、アモロプス・トルモタスの鼓膜が外部に出ていないのに気がついた。この発見をカエルやコウモリを研究している聴覚神経学者のフェン教授に話したのだ。
フェン教授の研究グループは、このカエルが超音波が聞こえ、反応するかどうかのテストを行った。フェン教授は科学誌『ネイチャー』に発表した論文で「なぜこのカエルの耳がくぼんでいるのか、その理由に対する理解が深まった。超音波を探知するには薄い鼓膜が必要である。
耳がくぼんでいると鼓膜と耳を結ぶ管が短くなる。そのことで伝達しやすくしているのだ」と書いている。超音波は20キロヘルツ以上の高周波数の高音で、鳥、爬虫類、両生類のほとんどが聴き取れない。

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