★【10写真2動画】:大型ハリケーン「アイリーン」米に大接近
2011年 08月 28日
ハリケーン「アイリーン」
オバマ大統領が
「歴史的規模」の災害警告
2011.8.27
jiji
【ワシントン時事】オバマ米大統領は26日、北東部に接近中のハリケーン 「アイリーン」に関し、「歴史的な規模」になる恐れがあると警告、最悪の事態を 想定した備えを国民に呼び掛けた。
大統領はマサチューセッツ州マーサズ・ ビンヤード島での休暇を早めに切り上げ、同日深夜にワシントンに戻る。 国立ハリケーン・センター(NHC)によると、アイリーンは同日午後8時 (日本時間27日午前9時)現在、ノースカロライナ州ハッテラス島沖南南西 約380キロの海上に位置し、勢力は5段階で下から2番目のカテゴリー2。 27日朝に同州に上陸後、28日にかけてワシントン首都圏やニュージャージー、 ニューヨーク各州の海岸線沿いを北上するとみられている。
北東部の沿岸各州知事は非常事態宣言を発令。ニューヨーク市のブルームバーグ市長は、 海岸線に近い地域の住民27万人に避難命令を出した。同市長によると、強制的な 避難命令の発令は史上初めて。また、地下鉄とバスの運行は27日正午に全面停止される。
異例の避難命令
ハリケーン「アイリーン」接近
2011.8.27
afpbb
【8月27日 AFP】米ニューヨーク(New York)市のマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)市長は26日、ハリケーン「アイリーン(Irene)」が米東海岸に接近していることを受け、市内の低地を対象に前例のない大規模な避難命令を出すとともに、地下鉄を運休させることも決めた。
ブルームバーグ市長は「生死に関わる問題だ」と述べ、約25万人が暮らすニューヨーク市内の低地を対象に避難命令を出した。このところ続いていた強い雨で地盤が緩み、土砂崩れの危険が高まっている恐れがある。高潮に暴風が重なってハドソン(Hudson)川が氾濫すれば、マンハッタン(Manhattan)中心部や地下鉄が浸水する危険もある。
バラク・オバマ(Barack Obama)大統領も夏休みを切り上げ、「全ての兆候は、このハリケーンが歴史的なものであることを示している」と述べ、進路にあたる地域の住民にアイリーンの襲来に備えるよう呼びかけた。
アイリーンは27日にノースカロライナ(North Carolina)州の沿岸部に上陸し、ワシントンD.C.(Washington D.C.)、ニューヨーク、ボストン(Boston)に向かうと見られている。
6500万人以上が住んでいる地域が洪水、暴風雨、停電、建物の損壊などの被害を受ける恐れがあり、専門家は被害額が120億ドル(約9200億円)に達する可能性もあると指摘している。
ニューヨーク州は州兵900人と緊急復旧作業に備えて電力作業員2500人を待機させるという異例の態勢を取っている。米国立ハリケーンセンター(National Hurricane Center)によるとアイリーンは26日午後5時(日本時間27日午前6時)現在、ノースカロライナ州の南西約430キロにあり、同州沿岸部ではすでに暴風が観測されている。(c)AFP/Brigitte Dusseau
ハリケーン・アイリーン
新月で要警戒
2011.8.26
ナショナルジオグラフィック
ハリケーン「アイリーン」がアメリカ本土に接近中だ。上陸の日時や場所、強度については今後修正される可能性があるが、サウスアラバマ大学沿岸気候調査センターの気象学者キース・ブラックウェル氏によると、少なくともひとつだけ確かなのは「危険性が高まっている」ことだという。その原因の一部は月にあるようだ。
現在の予報によると、アイリーンは今週末、ノースカロライナ州の大西洋沿岸アウターバンクスに強い勢力を維持して上陸する可能性が高い。同州から北東部のニューイングランド地方沿岸にかけて、すさまじい強風と大規模な洪水が発生しかねない。
「アウターバンクスを通過して、バージニア州、デラウェア州、メリーランド州、ニュージャージー州の沿岸部を北上し、ニューイングランド地方へ向かうと見られる」とブラックウェル氏は説明する。ニューヨーク州ロングアイランドでも被害の恐れが高いという。
しかし、フロリダ州マイアミの国立ハリケーンセンターでハリケーンを研究するジャック・ビーベン(Jack Beven)氏は、「上陸地点の予想は、3日間で240キロ近くの誤差が生じる」と指摘する。つまり実際の上陸地点は、現在予想されている進路から東西に大きくずれる可能性もある。
大型ハリケーンに発達
バハマ北部を直撃したアイリーンは、現地時間8月25日午後2時の段階で、時速約21キロで北西に向かっている。中心部の最大風速は51メートルに達し、「カテゴリー3」にまで勢力を拡大した。
ハリケーンの強度は、サファ・シンプソン・ハリケーン・スケールのカテゴリー1~5に分類される。被害予想の規模に基づいており、カテゴリー3(風速50~58メートル)以上を大型ハリケーンと呼ぶ。
国立ハリケーンセンターによるとアイリーンは、26日朝までにカテゴリー4(風速59~69メートル)へ成長する。
また、アウターバンクスの南端ケープルックアウトへ接近するにつれ勢力は弱まるものの、到達する27日午前から正午の時点でもカテゴリー3の勢力は維持すると予想されている。
原因は月にある?
民間気象予報サービス会社、ウエザー・アンダーグラウンド(Weather Underground)の気象学者ジェフ・マスターズ氏は、「アイリーンの上陸は新月と重なるため、深刻な洪水が危惧される」と警告している。
新月と満月は、太陽と月と地球が一直線に並ぶ。太陽と月が地球に及ぼす重力が最大になり、潮汐が大きく動く。干潮時の水位が通常より低く、満潮時は高くなる「大潮」が、洪水被害を拡大する。
1日2回の満潮とアイリーンの通過がぶつかると、大洪水が発生する可能性がある。例えばニュージャージー州のアトランティックシティでは、現地時間28日午後7時~8時が該当すると同氏は言う。
同時に高潮の影響も甚大だ。ハリケーンの強風で海面が上昇、膨大な量の海水が前へ前へと押し出されていく。カテゴリー3のハリケーンの上陸では、潮位が2.7~3.7メートル上昇することもある。
同氏が特に気がかりなのは、北東部ニュージャージー州の沿岸部だという。高潮が3メートルを超える可能性もあるが、潮位はそれほど問題ではないと話す。「ニュージャージーや北隣のニューヨーク州付近に大型のハリケーンが接近したのは、1985年のグロリアの直撃以来だ。不慣れで避難経験もほとんどない」。
2011年のハリケーン・シーズンは6月1日から11月30日まで続く。現時点では直撃を免れているが、海洋大気庁(NOAA)が5月に行った発表では、今年は頻発が予想されておりシーズン外の発生にも備える必要がある。
大型ハリケーン頻発か
2011.5.20
ナショナルジオグラフィック
5月19日に発表された予報によると、2011年夏のハリケーン・シーズンには、大西洋で6つの大型ハリケーンが発生する可能性があるという。
米国海洋大気庁(NOAA)のトップ、ジェーン・ルブチェンコ氏は、メキシコ湾とカリブ海を含む大西洋海盆で、風速17.2メートルを超える「トロピカル・ストーム」の発生数が12から最大18になる可能性があると発表した。
ルブチェンコ氏は記者会見で、そのうち約5割がハリケーンまで成長する、つまり風速32.7メートルを超える恐れがあると述べている。
さらに、3から最大6のハリケーンは風速49.1メートルを超える「メジャー・ハリケーン」に発達する可能性がある。大西洋のハリケーン・シーズンは6月1日~11月30日だ。
ハリケーンが頻発する予報は複数の要素に基づく。
その一つは、通常より約1.1度高い大西洋の海水温だ。ハリケーンは27度以上に暖められた海水をエネルギー源として発達する。
もう一つの要素は、東太平洋の赤道付近で海水温が低下するラニーニャ現象だ。ハリケーンの発生を夏に何度も妨げる働きがあり、大西洋上空を吹く風が弱まる。
NOAAや緊急事態管理の当局は、アメリカ東部やメキシコ湾岸の住民が2010年のハリケーン・シーズンに誤った楽観論を抱いたかもしれないと懸念する。
2010年は史上3番目にハリケーンが多く、19が命名される規模に発達したが、アメリカ本土には一度も上陸しなかった。「昨年は運が良かっただけだ。同じ幸運は期待できない」とルブチェンコ氏は警告する。
NOAAの予報に先だって、コロラド州立大学(CSU)の気象学者チームも4月に同様の予測を発表している。CSUの気象予報士フィル・クロツバク(Phil Klotzbach)氏とウィリアム・グレイ氏が示す発生数は、命名の対象となるトロピカル・ストーム16、ハリケーン9、メジャー・ハリケーン5だという。
大型ハリケーン数が3倍に?
2010.1.25
ナショナルジオグラフィック
地球温暖化の影響で、アメリカ南東部、メキシコ、およびカリブ海諸国が非常に強い勢力のハリケーンに襲われる回数が今後数十年にわたって増加することが、最新のコンピューターモデルで示された。
ハリケーンの発生を促す海面温度の上昇が進み、風のパターンが変化すると、ハリケーンの勢いはますます強まると今回の研究では予測している。しかし同時に、海面温度が上昇すると小規模から中規模のハリケーンが大西洋西部で発生する数は減少するという。
今回の研究では、世界の温室効果ガス排出量の増加が2050年頃まで続き、排出量削減が始まるのはその後になると仮定した場合に起こる事態を予測した。
この仮定は、温室効果ガス排出対策に用いる数値としては「中立的な立場に立ったシナリオであると一部では考えられている」と、米国海洋大気庁(NOAA)の気象学研究者でこの研究の共著者であるトーマス・クヌートソン氏は言う。
このシナリオでは、地球の気温は今よりおよそ2.5度上昇することになる。それに伴い、メキシコからカリブ海を上って南北カロライナ州に達する大西洋西部地域では、最も強烈な部類に入るカテゴリー4およびカテゴリー5のハリケーンの数が2100年までに倍増するという結果が示された。こうした非常に強いハリケーンの10年あたりの発生数が24個から46個に跳ね上がったのだ。規定では、カテゴリー4のハリケーンは風速が59~69メートル、カテゴリー5のハリケーンは70メートル以上とされる。
「(この結果には)非常に驚いた。倍増するとは考えていなかった。これほどの結果が出たのは予想外だ」と、同じくNOAAの気象学研究者で今回の研究を主導したモリス・ベンダー氏は語っている。それどころか、このモデルによれば最も強烈なカテゴリー5のハリケーンの数は2100年までに3倍になるという。
今回の新しいモデルは、地球温暖化によるハリケーンの変化を予測したものとしては、これまででおそらく最も精密なモデルだと共著者のクヌートソン氏は述べている。同氏によると、今回の研究では最先端の地球気候シミュレーションに、「気象予報士と(アメリカの)海軍がそれぞれ使用しているハリケーン予測モデル」を組み合わせたという。
3種類のモデルを1つのツールに統合することで、地球全体の気候だけでなく、大西洋に次々と襲来するすべてのカテゴリーのハリケーンを現実に忠実にシミュレーションできるようになった。
ジョージア工科大学のジュディス・カリー氏によると、今回のモデル化の手法は初めての試みだという。同氏は今回の研究には参加していないが「この研究は重要だ」と述べた。
一方、コロラド州ボルダーにある国立大気研究センター(NCAR)のケビン・トレンバース氏は、ハリケーンや海洋について予測するためには、現在用いられている気候シミュレーションすべてにまだ多くの改善の余地があると指摘している。
しかしそのトレンバース氏も、今回の新しい研究は気候変動がハリケーンに与える影響について支配的になりつつある見方を後押しするものだと話す。同氏も今回の研究には参加していない。
「現時点でわれわれが得ている最も確度の高い情報から判断すると、熱帯暴風雨の数はおそらく減っていくと考えられる。だが、カテゴリー4とカテゴリー5のハリケーンが発生するリスクは高まる可能性がある」とトレンバース氏は語った。(この研究は2010年1月22日発行の「Science」誌で発表された。)
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