★【参考記事つき】「小沢氏は起訴しない」とウソ 東京地裁が陸山会事件の調書を却下した驚愕の理由
2011年 07月 04日
「小沢氏は起訴しない」とウソ
東京地裁が陸山会事件の
調書を却下した驚愕の理由
2011.7.2
blogos
小沢一郎・民主党元代表の元秘書3人の公判で、東京地裁(登石郁朗裁判長)は検察側が用意した供述調書の約3割を証拠として認めないことを決定した。元秘書3人は、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐって政治資金規正法違反に問われていたが、検察側が組み立てたシナリオは大きく狂うことになった。
「威迫と利益誘導を織り交ぜ、硬軟両面の言葉で調書に署名させていた」として、38通の供述調書のうち12通を6月30日に却下。「他の秘書も認めている」などとウソの事実を告げて自白を仕向けるなど、調書作成過程で違法な取調べをしていたことを認定した。却下された調書には、「小沢氏に虚偽記載を報告し、了承を得た」とする供述も含まれており、今年秋にも始まると見られる小沢氏本人の公判にも影響を与えそうだ。【文・安藤健二(BLOGOS編集部)】
「利益誘導」をした
この事実が発覚した翌日、7月2日の主要各紙は大きくこの話題を取り上げている。元秘書の石川知裕被告(38)は「土地の裏取引は小沢氏の了解を得た」といった内容の供述をしていたが、これは「“小沢氏は起訴しない”と検事に利益誘導を持ちかけられた結果で、証拠として認められない」というのが東京地裁の見解だった。
石川被告は逮捕から4日後の取り調べで小沢元代表の関与を認めたが、これは、検事が「小沢さんは起訴されないから」と、小沢元代表の不起訴と引き換えに自白を促す「利益誘導」をしたためだと指摘した。(読売)
2004年10月の土地購入の原資になった4億円について「小沢氏が蓄えた簿外資金。虚偽記載をすることは大久保秘書と小沢氏に報告した」と認めた調書も、「検事が『これくらい書いても小沢さんは起訴にならないから』と利益誘導した」と述べた。(朝日)
小沢氏は検察審査会の議決の結果、今年1月に強制起訴された。その際、石川被告の供述調書が重要な根拠とされている。結果的に、この検事の言葉は全くのウソになった格好だ。
小沢氏公判、検察側は苦境に
東京新聞は、今後の小沢氏本人の公判で、検察側の指定弁護士が苦境に立たされることになったと指摘している。
「小沢氏に報告、了承を得た」などとする元秘書らの調書は、検察審査会が小沢元代表を起訴すべきだと判断した最大の根拠だ。小沢元代表の公判は、元秘書らとは異なる裁判官が審理するが、指定弁護士が厳しい状況に立たされたことには変わりない。
小沢元代表の公判でも、再び証拠採用するかどうかが争われるのは間違いなく、行方が注目される。
厚生労働省の村木厚子さんの事件でも、関係者の供述調書が証拠採用されず、無罪を勝ち取っている。
村木さんの裁判で、証拠を改ざんした前田恒彦・元検事が、今回の事件でも大久保隆規被告(50)を取り調べており、その有効性が疑問視されていた。東京地検は、今回の決定に異議申し立てをする方針だ。
「特捜は何でもできる」
検事が威迫、地裁認定
2011.7.2
読売新聞
小沢一郎民主党元代表(69)の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われた元秘書3人の公判で、東京地裁(登石(といし)郁朗裁判長)が、検察側が証拠請求した供述調書を却下した理由の詳細が分かった。検察官による「威迫」や「利益誘導」があったとして、取り調べが違法と認定されていた。
「特捜部は恐ろしいところ。何でもできる」。同会元事務担当者・石川知裕衆院議員(38)は2月の被告人質問で、逮捕前日の昨年1月14日の取り調べで東京地検特捜部の検事からこう言われ、「逆らうことができなくなった」と主張した。
登石裁判長は決定で、この検事の言葉が石川被告への「心理的圧迫」となったと認定。その後の取り調べで「真意に反する調書に署名せざるを得なくなった」として調書の任意性を次々に否定した。ただ、石川被告が逮捕翌日の勾留質問で虚偽記入を認めた調書については、「公正中立な立場の裁判官が言い分をそのまま記載している」として採用した。
石川被告は逮捕から4日後の取り調べで小沢元代表の関与を認めたが、これは、検事が「小沢さんは起訴されないから」と、小沢元代表の不起訴と引き換えに自白を促す「利益誘導」をしたためだと指摘した。
「小沢氏に報告」元秘書の供述
証拠不採用 陸山会公判
2011.7.2
朝日新聞
小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京地裁(登石郁朗裁判長)が6月30日に証拠採用しないと決めた捜査段階の供述調書の中に、「小沢氏に政治資金収支報告書の虚偽記載を報告し、了承を得た」とする元秘書2人の供述部分が含まれていることが、関係者の話で分かった。
同地裁が証拠請求を却下した決定理由の中で「小沢氏本人の起訴をほのめかすなど、東京地検特捜部の検事による取り調べに威圧や威迫、利益誘導があり、自白調書には任意性がない」と指摘したことも判明。大阪地検特捜部の郵便不正事件に続いて、特捜部の取り調べのあり方が大きな問題となりそうだ。
関係者によると、同地裁が証拠として認めなかったのは、衆院議員・石川知裕被告(38)と元秘書・池田光智被告(33)が政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑を認めた内容を含む調書。2人が虚偽を記載した収支報告書の提出前に、会計責任者だった元秘書・大久保隆規被告(50)と小沢氏に報告し、了承を得ていたとする内容の部分も含まれているという。
元秘書3人の公判とは別に、検察審査会の議決を受けて強制起訴された小沢氏の公判が秋以降に控える。審査会は石川議員と池田元秘書の自白調書の内容を根拠に小沢氏を「起訴すべきだ」と議決しており、小沢氏を起訴した検察官役の指定弁護士の立証は困難が予想される。判断する裁判官は異なるが、同様に元秘書らの供述調書の証拠能力が問われる局面が来そうだ。
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