★ウラン残土「リサイクルレンガ」が一般流通するわけとは?
2011年 06月 02日
(ウラン残土の「リサイクルレンガ」~人形峠のレンガから最大値0.35マイクロシーベルト時と通常値の約7倍の放射線検出)
「リサイクルレンガ」が
一般流通するわけとは?
2011.6.2
zakspa
原発だけでなく、核関連施設も“核のゴミ”の処分に困っている。昨年、相沢議員のもとに一通の内部告発文書が届いた。それは日本原子力研究開発機構の下請け会社の社員からで、そこには「会社から人形峠のウラン残土をリサイクルしたレンガを買うよう強制された。調べると、機構の幹部が会社に乗り込んでレンガ購入を打診し、会社が断れずに買った」と書かれていた。
当初は希望者にレンガを買わせようとしたようだが、放射性廃棄物のリサイクルレンガを買う者はおらず、会社が費用を負担して社員に配ったのだという。
膨大なウラン残土の処分に困っているのが、人形峠環境技術センター(岡山県)。ここでは長年、ウランの精練や転換を行ってきたが、’01年に事業を終了した。現在は、大型解体に向けての準備中だ。
かつてウラン採掘をしていた人形峠では、採掘後に放射線を出す膨大な残土が残った。この撤去をめぐり、地元住民は裁判を起こし勝訴したのだが、この処理に困った機構は、’09年からそれを土と混ぜ、レンガとして売り出していたのだ。
この人形峠では、毎時0.1マイクロシーベルトの低レベル放射性廃棄物は厳格に保管されているのに対し、最高値で毎時0.35マイクロシーベルトを検出したウラン残土をリサイクルしたレンガが通信販売や店舗で一般に売り出されている。放射線値の高いほうがなぜ一般流通できるのか?
この疑問に、匿名を条件にして機構本部の職員が答えてくれた。
「簡単な話。低レベル放射性廃棄物は、『原子炉等規制法』で厳重な管理が求められますが、残土やレンガはその対象外だからです」
ウラン残土は法の網から漏れていたのだ。そして、150万個ものレンガは内部告発のとおり、果たして機構内部だけで使えなかったのだ。
「やはり機構内部だけでは使い切れず、立場の弱い下請け会社などに押しつけているのでしょう」(相沢議員)
ウラン残土処分の問題は、これで解決したわけではない。なぜなら、レンガになった残土は、全体の0.6%にすぎないのだ。人形峠周辺にはいまだに、今も放射線を出しながら総体積48万立方メートルもの行き場のない残土の山が存在している。
もし線量が下がったらどう処分するのか?
案内をしてくれた職員は「わかりません」と答えるだけだった。
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