★祈るのみ…あきれた東電、福島原発“台風対策なし”
2011年 05月 29日
あきれた東電
福島原発“台風対策なし”
2011.5.29
sponichi
猛烈な台風2号は28日、風速25メートル以上の暴風域を伴ったまま東シナ海を北上した。この影響で本州に停滞する梅雨前線が活発化し、東日本大震災の被災地では29日から31日にかけて大雨に対する警戒が高まった。東京電力福島第1原発では季節はずれの台風に対策が間に合わず、パトロールを強化するなど“応急対策”で乗り切ることになった。
東電は約1カ月前から梅雨や台風シーズンに備え、福島第1原発から放射性物質が風で飛ばされたり、雨で海に流れ出さないよう敷地内で汚染されたほこりを固める飛散防止剤を散布。流出防止の対策を1~4号機の原子炉建屋周辺で進めている。建屋そのものにカバーをかけることも計画しているが、作業は6月中旬に開始する予定だ。
“想定外”の台風に、同社の広報担当者は「建屋は過去最大の台風にも耐えられるよう、壁は厚さ約1メートルのコンクリートで造られている」として問題がないことを強調。
しかし、現在、原子炉建屋の上部は水素爆発などで鉄骨がむきだしになったまま。建屋の一部や敷地内に散乱した放射性物質を含むがれきが強風に巻き上げられ別の場所へ飛ばされる可能性もある。別の関係者は「最大限努力しているが、建屋のカバーまでは出来上がっていない。風や雨に対する具体的な対策はなく申し訳ない」と話した。
また、28日午前7時現在、タービン建屋の外にあるトレンチの水位は2号機が地上まで58・6センチ、3号機が43・1センチにまで迫っていることが分かった。フタのないトレンチに大量に降った雨水が流入すれば、汚染水が外にあふれ出ることもあり得る。これらの対策については「パトロールを強化するなどし、必要ならば応急処置をする」(広報担当者)とした。
気象庁によると、台風は今後、北東方面に進み、30日には関東地方の手前で温帯低気圧に変わる見込みだという。しかし、本州の南岸に停滞する梅雨前線の活動は活発になり、東北地方で29日午後6時までの24時間に予想される雨量は、多い所で30ミリ。30~31日にかけて太平洋側を中心に大雨となるもよう。雨以外にも落雷や突風、ひょうの可能性もあるとして注意を呼びかけている。
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