★3Dによる巨大な宇宙地図がついに完成!
2011年 05月 27日
3Dによる巨大な宇宙地図が
ついに完成!
範囲は3億8千万光年
2011.5.27
excite
米・マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード・スミソニアン天体物理学センターで開かれたアメリカ天文学会。218回目の開催となる今学会で、3次元(3D)による超超超巨大な宇宙の地図が発表された。
同様の宇宙地図はこれまでも公開されてきたが、今回発表されたものは、これまでにないほど完成度が高く、正確なものだ。完成に10年の歳月を費やしたそうで、天文学者のみならず、多くの宇宙ファンも長い間待ち望んでいた発表と言えるだろう。
地図の範囲は3億8000万光年に及び、描かれた銀河の数はなんと約4万5千。天の川銀河の直径だけでも10万光年とされる中、その規模の大きさを想像してみてほしい。途方もないスケールの宇宙地図なのだ!
この地図は、「2MASS(2マイクロメートル -波長- における全天調査)」と、「赤方偏移サーベイ」の情報を合わせた「2MRS」(Two-Micron All-Sky Survey -2MASS- Redshift Survey) によるデータを用いて作成された。
少しだけ説明すると、宇宙塵などの物質に覆われ、可視光線(人間の目で見える波長)では見えない銀河の様子を近赤外線光でとらえるのが「2MASS」。光のドップラー効果(遠ざかる速さが速ければ速いほど光が赤く見える)に基づいて、銀河の距離を測るのが「赤方偏移サーベイ」だ。
難しい話はさておき、特筆すべきは、今まで不鮮明だった我々の住む銀河系(天の川銀河)のはるか遠方、別の言い方をすれば「天の川の向こう側」が観測ができるようになったことだ。
我々の銀河系は、秒速約600キロメートルの速度で宇宙空間を運動していると考えられているが、その重力源はまだ多くの謎に包まれている。今回の宇宙地図の完成によりこの重力異常の謎が解き明かされるかもしれず、宇宙に魅せられた多くの天文学者たちの血を沸き立たせているのだ。
この度の学会で、同地図の完成を披露した英・ポーツマス大学のカレン・マスターズさんもそんな学者の1人。3Dの地図を完成させたことにより、宇宙における地球の位置が正確に分かるようになったと喜びを語った。
科学者により次々と明かされてゆく宇宙の実態。そのスケールにはただただ言葉を失うばかりだ。日常生活は宇宙の営みとはかけ離れたところにあるものの、たまには天の川の向こう側に思いを馳せて、宇宙ロマンに浸ってみるのもいいかもしれない。
参照元:Daily Mail (英文)
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