★カブトムシはなぜ冬を越せないのか?
2010年 11月 01日
なぜ冬を越せないのか?
2010.11.1
excite
急に肌寒くなり、我が家で飼っているクワガタも、二度目の冬眠に入ってしまった。幼い頃、父と一緒にクワガタ+カブトムシを近所の山で採り、一度に60匹以上も飼っていたこともあるのだが、夏の終わりには山に返しに行ったため、「越冬」についてはよく知らなかった。
大人になって改めて「クワガタには冬を越せる種類がいること」「カブトムシは冬を越せないこと」を知ったのだが、そもそもなぜそのような差があるものなのか。『月刊むし』でおなじみの「むし社」に聞いた。「クワガタが冬を越えられるといっても、個体差はもちろん、種類によります。冬を越えられるのは有名なものではオオクワガタ、コクワガタ、ヒラタクワガタで、越えられないのはノコギリクワガタ、ミヤマクワガタなどです」
一方、カブトムシは……。
「基本的にはやはり冬を越えられないですね。コカブトムシというコガネムシみたいな小型のものの場合、冬に成虫になって活動しないまま冬眠し、春に初めて出てきますが……」
それにしても、昔から人気が高く、並べられがちなクワガタとカブトムシの両者に越冬の差が出るのはなぜなのか。
「まずは生態サイクルの違いがあります。たとえば、クワガタは夏の終わりから秋口にかけて、ほとんど成虫になり、枯れ木の朽木に潜って1回冬眠し、夏に出てきます。なかには、春先に成虫になってしまい、年内に出てくるのもいますが、多くは秋に成虫になるんです。でも、カブトムシは、幼虫から初夏にさなぎになり、夏に成虫として出てくるものが多いです。クワガタとカブトムシでは成虫になるタイミング・出てくるタイミングが違うんですよ」
当然、「寿命そのものの違い」もある。
「オオクワガタやコクワガタ、ヒラタクワガタは暑さや寒さの変化に強く、自然界では2年くらい生きます。さらに、飼育下ではオオクワガタは5年という記録があり、コクワガタは飼育下では一般的に2~3年と言われています」ただし、自然界は厳しいため、冬眠しても越冬できるとは限らず、翌夏に出てくるまでに命が尽きてしまう個体のほうが多そうではあるらしいが。
一方、ノコギリクワガタやミヤマクワガタは、カブトムシと同じくらい寿命が短い。
「いずれも暑さや寒さの変化に弱く、厳しい自然界ではエサもなく夜も冷え込むので、1カ月もたないと言われています。ただし、飼育下では、エサもあり、あたたかいため、翌夏まで生きた記録もありますが……」
これらに加えて、個人的な推測として、以下のような条件も挙げてくれた。
「オオクワガタやコクワガタ、ヒラタクワガタなどは、比較的争いを好まない性格といえます。木のスキマになるべく隠れてじっとしていることが多く、他の虫が群がっている蜜などに自分からはいきません。いざとなると力はあるけれど、逃げてしまう臆病さが寿命の長さにつながっているところもあるかも。
一方、ノコギリクワガタやミヤマクワガタ、カブトムシはカッコよくカラダも大きいですが、派手なケンカもするし、蜜のところで他の虫を追っ払うようなところがある。生き急ぐようなところがありますね」長生きには争いごとを好まない「臆病さ」も重要ってこと? 生態サイクルに加えて性格の差もありそうなクワガタとカブトムシ。ますます興味深いです。
(コガネムシ科)
体 長~ 30~53mm (ツノは除く)
分 布~本州、四国、九州、奄美大島、沖縄本島
生息場所~林
出現期(成虫)~6~8月
夜行性の甲虫で、平地から低い山地の雑木林に見られる。成虫はクヌギ、サイカチ、コナラなどの樹液に集まり、灯火にも飛んでくる。オスにはトレードマークのりっぱなツノがあるが、メスにはない。交尾も樹液の近くで行なわれる。朝になると木の根元を掘って、土にもぐって眠る。
8 月の後半ごろ、メスは堆肥や朽ち木、木くずなどがくさってできた腐植土にもぐりこみ、そのなかに20~30個の卵を産みつける。10日ほどでふ化した幼虫は、2~3齢で冬を越すが、そのまま成長を続け、6月頃にサナギとなり、その約3週間後に成虫となる。オスもメスも、片足をもち上げて、勢いよくおしっこをする。
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