★「君を解雇する」と言われたとき
2010年 10月 11日
と言われたとき
2010.10.11
excite
今日まで会社のために何時間も、何日も、いや何年も自分の時間を費やしてきた自分。ある日突然会議室に呼び出され、解雇通告を受けるシーン―― ドラマではよくある場面ですが、現実に自分が受けたら、頭の中が真っ白になるでしょう。
実際、会社が従業員を解雇(横領などの理由による懲戒解雇は除く)するには、どのような要件が必要なのでしょうか。解雇通告に戸惑う労働者から教えて!gooにも質問があがっています。
「突然の解雇について」
「突然の整理解雇」
「普通解雇」と「整理解雇」では求められる条件が違う
前者の方は、販売職として勤務しており、その勤務態度や感情のコントロールが難しいという理由で解雇通告されています。これを「普通解雇」といい、労働基準法では「解雇には正当かつ合理的理由がなければならない」とされています。
この正当および合理的理由というのはかなり厳格にとらえられていて、ご質問のように「(客に対して)にらんでいた」「感情のコントロールが難しい」というだけでは、解雇は認められません。
会社は解雇するまでに、的確な指導・注意をして改善させる努力をしたのか、配置転換などで対応できなかったのかなど、本人の改善努力よりも会社側の改善に導く努力が重くとらえられます。
一方、後者は「整理解雇」すなわち人員整理に伴う解雇です。整理解雇は通常の解雇よりも明確に基準が定められていて、通称「整理解雇の4要件」と呼ばれています。
(1)整理解雇が会社を存続させる最終的手段なのか?ほかの手段はないのか。
(2)解雇を回避するために、新規採用の中止、希望退職者の募集などを行ったか。
(3)解雇する労働者の選定基準が公平かつ合理的でその解雇勧告手続きも合理的で公平であるか。
(4)解雇の必要性、解雇の規模・その方法、選定基準を従業員に十分説明して、納得を得ているか。
前者の質問も要件を満たしておらず、後者の質問は整理解雇の1要件も満たしていませんね。
解雇通知後の実情
そうはいっても、大抵の方は「解雇=クビ」で頭が真っ白になってしまい、会社に言われるがままに退職していくのが現実かもしれません。
不当解雇だと労働基準監督署に訴えてみても、長い時間がかかり、結局和解金名目のお金で解決しているケースがほとんどだと思われます。「会社に残ってがんばりたい」あるいは「解雇について会社と戦いたい」と思う方もいますが、結局居心地が悪くなり、閑職に追いやられ、お情けで雇用継続されている現状があります。
その一方で、正当で合理的理由がなければ軽い問題をたびたび引き起こす社員を解雇できないため、居直り型の社員を作ってしまったり、日本の法制度は労働者と使用者との関係において、妙に労働者側の権利が強かったり、使用者側の権利が強かったり、その力関係が矛盾だらけで、いまだ不整備と言わざるを得ません。
「会社に勤務する労働者の三分の二が賛成した場合、対象となった取締役(代表取締役を含む)は解任され、再び選任できない」などの法律も、役員の横暴を防ぐためにおもしろいかもしれません。従業員だけ会社からの解雇があって、取締役に従業員からのリコールがないのは不合理と思うのは私だけでしょうか…。
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