★Photoshop加工された写真を見破るテクニック集
2010年 10月 08日

見破るテクニック集
2010.10.7
excite
Photoshopは現実の姿を歪めるのに大変に優れたツールであることはみなさんご存知。そして加工された写真が世にはびこる中、Photoshop加工効果を自分で見抜くスキル、身につけておいて損はないでしょう...。ということで今回は、Photoshop加工された画像を見抜くテクニックをいくつかご紹介したいと思います。
※まず最初に...
他のツールも同様ですが、Photoshopは良いようにも悪いようにも利用されます。新聞に掲載されているような写真は多少の加工が施されていることがほとんどですが、これは必ずしも悪いことではありません。レタッチされた写真とレタッチされていない写真の違いを見抜いて、その加工っぷりにたとえ納得できなくても、大目にみてあげましょう。
目をつかって見抜く
Photoshop加工の見破り方を学ばなくても、写真のちょっとした不完全さや風変わりな感じに気づく事はできるでしょうし、それに気づく事が出来るようになれば、見る目が備わってると言えると思います。さて、Photoshop加工の見破り方のサンプルのためだけに、Facebook CEO マーク・ザッカーバーグ氏の顔写真を、いくつかのポイントで加工してみました。記事一番上の2つの画像を見てみてください。左がオリジナル、右が加工後の写真です。
ポイントその1:目
マーク・ザッカーバーグ氏の目を、ザック・エフロン (アメリカの俳優)のキラキラした目に合成してみました。
しかし白目の部分が、充血全くなし、むしろ真っ白すぎ...、ということがわかりますでしょうか。(ムービースターの白目はものすごくキレイということも差し引きつつ...)
多少リアリティを出すために、グレーのテクスチャを目の膜の部分に加えてみましたが、そこまで過剰には加工していません。にもかかわらず不自然な白目によって、「これはPhotoshop加工かもしれない」と疑うことができます。
人の顔というものはダイナミックで、構造的な特徴が出やすいのですが、「目」は特に良い例となります。目の部分が、不自然にぺったんこに見えた時には(うまくライティングされてて、さらにPhotoshop加工を施してたとしても)、写真にはいくつかの「影」が必ずある、ということを意識してみましょう。この写真の場合の顔の影が、本物かどうか見抜いてみます。
マーク・ザッカーバーグ氏の右目を見てみると、右目の影にちょっとした変化があるのがわかります。元の写真にある元の「影」が加工された写真には無いので、なんとか不自然さを修正しようとしてみました。にも関わらず、元の写真の目の影の部分を完璧に再現出来ていない事にお気づきでしょうか。Photoshopでちょっと加工したり、歪みを修正する事はできるのですが、それでも完璧な修正は困難です。
こんな感じの視点が、フェイクを見破るためのポイントとなっていくというわけです。
ポイント2:鼻
この写真でおそらく最も加工されていることが分かりやすいのが鼻です。(今回使われているのがテイラー・スウィフトの鼻だから、というわけでもなく。)鼻は、肌のキメと色を他の部分と合わせることが特に難しく、鼻を合成して置き換える場合、その両方を整えるのはとても難しいのです。
今回の写真の鼻に関しては、いくつか見破るポイントがあります。
まず、マーク・ザッカーバーグ氏のそばかす顔にあわせて質感を整えようと試みましたが、それでもまだテイラー・スウィフトのなめらかでそばかすの無い肌が分かりますよね。パッと見難しいかもしれませんが、ライティングの違いというのも含みつつ、テイラー・スウィフトの鼻の方がZuckerbergさんよりも肌感がなめらかに見えます。
また、写真の小鼻を見てみると、ちょっと赤くなってますよね。この部分は手抜きした部分でもあります。もちろん肌なので影になっている部分は赤みがかるんですが、こんなに赤くなることはありません。濃く明るい赤が影の部分に見て取れる場合は、合成における手抜きポイントだったりします。
ポイント3:口
最後に口ですが、ジミー・ファロンさんの小ぶりなお口を拝借してきました。大抵の場合下唇は少し出ているので少しテカリがある、ここがポイントです。
この写真では2箇所あるのがわかりますでしょうか? 赤くピンクがかった部分と、唇の下のほうで見えるものの2つです。マーク・ザッカーバーグ氏とジミー・ファロンの唇の部分の合成が完璧ではありません。遠目にあまり分かるものではありませんが、荒い際の部分が手抜き合成を見破るの1つの大きなポイントです。
人工物でないもの
人間の顔の場合、パーツの境界の部分や手抜きな合成は、割と気づきやすいでしょう。
写真の補正においては本物に近づけるために、レイヤーと描き直されたパーツが沢山必要になります。
ほぼ同じライティングで撮影されたパーツでなければ、本物のように合成するのは至難です。下手な合成は簡単に見破られますが、どんなケースでも「際(エッジ)」に証拠が隠れています。
ライティングの不一致や、不自然なエッジを探してみてください。1つのパーツだけで判断できない場合は、他のパーツで違和感があるか探してみてください。2つのパーツでライティング具合が一致しない場合は、おそらく手を入れられた可能性が大です。
テクノロジーを使って見破る
デジタル領域での科学的犯罪捜査の専門家であるHany Fried氏は、こうした違いは非常に分かりにくいものですが、ライティングは偽物であることを見つけるのに非常に重要なポイントだと指摘しています。Photoshopによる写真の捏造を見破る方法をより詳しく学びたいなら、Fried氏の画像解析に関する知見はかなり参考になると思います。
画像解析ソフトを使えば、画像内のおかしな特徴を見破ることはもっと容易になりますが、この類のソフトは一般的に非常に高価です。代わりといってはなんですが、オンラインのフリーツールやPhotoshopを使ってできる、2つの方法をお教えしましょう。(ま、Photoshopも高いですけどね。)
Image Error Level AnalysisはJPEG画像から、圧縮率の最も高い部分を示すヒートマップのような画像を生成してくれるツールです。Photoshopで過剰にいじられた画像というのは、幾度となく保存されたJPEG画像部分を多く含んでいます。理論的にこのツールは、そうした部分をハイライトして教えてくれるというもの。
今回のサンプルのマーク・ザッカーバーグ氏の加工写真では、あんまり違いが分からないような気もしますが。Photoshopを使っているなら、写真に含まれる異なる色を切り替える機能がありますね。
マーク・ザッカーバーグ氏の顔の合成は、RGB構成になってますので、赤、緑、青のカラーチャンネルからできています。チャンネルの切り替えは簡単、チャンネルのパネル(もしくはCtrl/Command + 2、3、または4のキーボードショートカット)から操作できます。
また最新のPhotoshop CS5では、2のキーは赤、3は緑、4は青のチャンネルになっています。青のレイヤーを見ていただくと、鼻が偽物だということが全く明らかで、ライティングがずいぶんと異なっていることがわかります。
普通のカラー写真からは特定が難しくても、青のレイヤーを抽出すれば、かなり簡単に不自然さを見破ることができます。また他の方法として、極端に彩度を上げてみると、JPEG圧縮の跡が見えるだけでなく、写真の中でのトーンと色味の違いを暴くことができますよ。
こんな感じでPhotoshop加工を見破る方法のテクニックをいくつか紹介してみました。他にもさまざまな見分け方があると思いますが、もし取っておきの方法がありましたら、ぜひ教えてくださいね。

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