★リピーターの多い、「貧乏神神社」
2010年 10月 04日

「貧乏神神社」
excite
長野県飯田市を訪ねたとき、地図中のこんな奇妙な名前に、目がとまった。「貧乏神神社」実は以前、Bit記事で、亀戸にある分社を紹介しているのだが、ここはその本社のよう。システムなどは過去の記事に詳しいが、とにかくこのユニークな名前からして、一見の価値はありそうだと、足を運んでみた。
まずギョッとしたのは、参道の両脇に掲げられた無数の旗。いずれにも「貧乏神神社」とあり、入り口には「入場料100円」とある。参拝料でなく、「入場料」。遊園地かイベント会場かよっ!? にわかに不安になったが、もう遅い。掘っ立て小屋のようなものが現れ、中にいたのは、作務衣のようなものを着た満面の笑みのおじさんだ。祭主らしい。もう引き返せない……。
入場料を払うと、祭主の話が始まった。「ご利益を下さる神様なんてのは、いない。ご利益は、神前で誓い、自分で勝ち取るもの」といった内容で、プラス思考をすすめる、至極真っ当な内容だ。どちらかというと、祭主というより、ビジネス書・啓蒙書の著者の話、あるいは自己啓発セミナーのようでもある。
一緒に訪ねた義母は、祭主の話にいちいち感心しては、「そうですわよねぇ〜、ホント、その通りですわよね〜」としきりに相槌を打つ。その熱心さが気に入られたのか、途中から祭主に冗談めいた口調で「後継者になってほしいほど」と言われていた。変な盛り上がりである。
さて、肝心の祈願の段となったが、「ここは『どうか○○ように』と祈るのではない。ちょっと変わった方法で……弱い心を叩いて蹴飛ばすんですよ」ゾクッと背筋が寒くなった。祭主がさっきから持っている棒が気になる。もしかして、私たち、ぶたれるの? だったら、一目散に逃げよう。でも、逆に、祭主をぶてってことか? それなら、考えないこともないが……。
頭の中で、いろんな妄想が駆け巡ったが、これは全くの誤解だった。「貧乏神出ていけ! 出ていけ! 出ていけ!」と木柱の上部を棒で3回叩く+木柱の下部を3回蹴る+豆を的に向かって投げつけるという儀式である。これこそが「ストレス解消」「元気の出る」効果なのかもしれないな、と思った。
売店には、打ち出の小槌やお守り、祭主自身が歌うCD(1200円)など、気になるものがゴロゴロ。ご本尊の「貧乏神さま」のまわりには、お礼参りの札もたくさん張られていた。リピーターが多いというのも、このユニークさに惹かれてのことだろうか。

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