国内初のウジ虫治療を行なわれる(9/15掲載)
2004年 10月 06日
岡山大学心臓血管外科の三井秀也氏により、糖尿病性足潰瘍に無菌ウジをはわせて、壊疽(えそ)を清浄化する「無菌ウジ療法」が、今年3月
国内で初めて5例行なわれ、経過も良好だそうです。
1930年代には100を超える論文に報告されていた治療法だったが、外科手術の発達や抗生物質の登場で次第にすたれていきました。しかし、1990年になると抗生物質抵抗性の感染性潰瘍(かいよう)が見られ、再び脚光を浴びることとなった。
2002年12月には『Clinical Infectious Diseases』に「糖尿病や感染により他の治療法では治らなかった創傷にうじ虫を使用したところ、通常切断が必死であった手や足の創傷が治る」という研究成果がLeiden 大学の研究者・G.N. Jukema氏によって発表されています。
イギリス
オーストラリアから発送された無菌処理されたクロズキンバエの卵は、日本に着いた時点では2mmほどの幼虫になっており、これを1cm2当たり6~10匹ほど潰瘍(かいよう)に置く。
患部に置かれたうじは、壊死(えし)した潰瘍のみを食べながら、成長する。36時間後にはウジは1cmくらいまで成長している。うじが蛹(さなぎ)になる前に、1週間弱で取り除く。これを2週間で3回ほど繰り返すと、傷口が小さくなり、新しい肉芽組織が上がってくるのです。
患部にはわせると、うじ虫は酵素を分泌して壊死した組織・細胞を分解し、分解産物を養分として食べます。また潰瘍をバクテリアの感染から防ぐ物質も分泌するといわれています。
画像2クリックーうじを患部・
画像3クリックー36時間後・
画像4クリックー治療1週間
画像5クリックー治療2週間
副作用が見られず、禁忌症例もなく、麻酔も必要としない、うじを這わせることで、足を切断しなくても済むこと、また抗生物質より安価かつ安全に治療期間が短縮でき、院内感染の可能性も減るなどにあるという。
海外でも治療法やその費用面でも「無菌うじ療法」が優れているという報告もある。ちなみに岡山大学病院では高度先進治療として校費から補助されているため、3回ほどの治療で100万円弱だったという。(MEDWEBより)